2013-03-26 ■ 聖女(7) 男は、中古レコード店にいた。バイト仲間が、 「ジャズはいいぞ」 と言っていたので聴いてみようと思い立った。 ちょうど、チャーリー・パーカーの『ナウ・ザ・タイム』があったので、買った。 帰りのバスの中、前に座っていた女の子が男に向って微笑んでいた。 アパートに着き、コーヒーを淹れ、飲みながらレコードを聴いた。 (これだ。オレが求めていたものはこれなんだ) 聴き入っているうちに、男は自然に胎児の様にベッドに横になっていた。 部屋の窓には、夕立の滴が垂れていた。