男は、中古レコード店にいた。バイト仲間が、
「ジャズはいいぞ」
と言っていたので聴いてみようと思い立った。
ちょうど、チャーリー・パーカーの『ナウ・ザ・タイム』があったので、買った。
 帰りのバスの中、前に座っていた女の子が男に向って微笑んでいた。


 アパートに着き、コーヒーを淹れ、飲みながらレコードを聴いた。
(これだ。オレが求めていたものはこれなんだ)
聴き入っているうちに、男は自然に胎児の様にベッドに横になっていた。


 部屋の窓には、夕立の滴が垂れていた。