「お願い、ガス欠なのよ」
数日後、男がガソリンスタンドで後片付けをしていると、女がやってきた。
男は仕方なくガソリンを入れた。
「めんどくさいから金はいいよ」
そう言って後片付けにかかった。仕事を終えガソリンスタンドのドアに鍵をかけ、男が帰ろうとすると女は車を止め待っていた。
「送っていくわ」
「ああ、それじゃ」
男は送ってもらった。
 車の中であまり会話することはなかったが、女のしぐさで男は何か親近感を抱いていた。
 そして、アパートに着くと女を部屋に招きいれ、コーヒーを淹れた。男はコーヒーにこだわっていて念入りにドリップした。
部屋は汚くてベッドでお互いに座った。コーヒーのいい香りがしていた。
「これでも」
と、男はヤン・サウデクの写真集を女に差し出した。
女は興味深く写真集を眺めていた。