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夜も更けた頃、昼は賑やかだが、今は静まり返っている街中を、
男は歩いていた。
歩いていた。
歩いていた。
たまに通り過ぎる車のヘッドライトが、男を照らしていた。男はおもむろに立ち止まり、アスファルトに紛れているマンホールのふたを持っているバールでこじ開けた。そして、マンホールの中へと入っていった。
はしごになっている中を降りてゆくと地下道があった。あたりは薄暗かった。男は地下道を歩いていった。途中、誰が見ることがあるのか、パフォーマーがいた。
地上では、マンホールのふたが開いていることに気付いた警官が不審に思い、マンホールを覗き込んでいた。
男は、灯りがともったバーのドアを見つけた。
地上の警官は、マンホールの蓋を閉めた。
ちょうどその時、男はバーのドアを開けた。
バーの中にはバーテンダーが一人、何も言わずワイルドターキーのロックをカウンターに座った男に出した。
男は出されるがまま飲んだ。
男はガソリンスタンドで働いていた。
いつものように仲間と話していると、アルファロメオのスパイダーがガソリンスタンドに入ってきた。男は不機嫌そうにガソリンを入れると、女はゴールドかあー度で支払いを済ませ去っていった。
「冗談じゃないぜ」
「冗談じゃないわよ」
互いに同時につぶやいた。
それが二人の出会いだった。