子供の頃 犀川のほとりで遊んでいた
緑に囲まれた谷から見下ろす犀川は美しかった


きらきらと輝く水面
ざわざわと流れる川の音


たしか新緑の季節だ
岩に腰掛けてずっと川を眺めていた


笹舟を作り流してみたり
父と弟と手をつなぎ川を渡ってみたり
母の手作りの弁当をほおばったり


夢のようだ
豊かな自然と触れ合い遊んでいたことが


子供どうしで川へ行って石を投げっこしたり
恐る恐る足だけ川につかってみたり
誰かがくつ下を流されてしまったことも


夢のようだ
幼い頃の過去であるのに
なにか手放しで気持ちよかった
ただそこにいるだけで


歳をとってから もう一度その場所に行ってみると もう昔の風景はなくなっていた


犀川の上流に行って
裸足になり川に入ってみた
新緑の頃だ
心地よく冷たい水はさわやかに流れ
私の足を通り過ぎた
太陽の光が輝いていた


いつもの大人である自分を忘れて
夢をみた
儚く遠い夢
心に染み込んでいる夢を